毎日新聞 2009年1月11日 地方版 ◇県配布、学校・企業で対策始まる 新型インフルエンザの発生が世界的に懸念される中、県が昨年9月に配布を始めた「対応ハンドブック」の希望者が急増している。用意した5万部では足りず、さらに5万部を増刷。企業や学校から研修の依頼も相次ぐ。未知の感染症への不安や、対応方法が分かりにくいことも背景にあるようで、県は「混乱を防ぎ被害を最小限にするには正しい知識が重要」と呼び掛けている。【安部拓輝】
「新型」とは人に免疫がないという意味。03年に香港で人への感染が確認され、昨年9月までに387人の感染が確認された鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が突然変異し、人同士で感染するのではと心配されている。現在の「A香港型」「Aソ連型」も過去に鳥ウイルスが変異して生まれたものだが、H5N1型は強毒で、厚生労働省は最悪の場合、国内で3200万人が感染し、最大64万人が死亡すると予測している。
事態に備えようと県は対策行動計画を策定。医療機関での感染拡大を防ぐために各地域の保健所で電話相談の窓口を設置し、専用外来を紹介するよう想定している。対応ハンドブックはその一環で作成。福祉関係者らの会議や県庁各課で紹介したところ、不特定多数の客と接する銀行や卸業者などからも配布要請が相次いだ。
一方で、「病院に行かないと(普通の)風邪と区別がつかない」と対策への問い合わせも増えている。県周南健康福祉センター健康増進課の恵美須勝美課長は「電話相談は住んでいる地域外で発生した場合を想定している。『もしも私も』と感じた人に冷静な対応を助言するのがねらい」と説明する。
県立下松高校では先月、全校生徒に新型インフルエンザの説明会を開きハンドブックを配った。養護教諭は「学校での感染拡大は避けたいが、安否確認と教育の保証は大きな課題」。同校では万が一の場合、ファクスやホームページで教材の自習範囲を指示するなどの対策を検討している。
西京銀行(周南市)では、行員の半数が出勤できない事態を想定したマニュアルを作成中で、メールで一斉に安否確認ができるシステムの導入も検討しているという。企業の研修で講演している県健康増進課の中尾建生主査は「会議はやめてメールを活用したり自宅での作業を増やしたりと社員が集まらなくて済む方法を考えておく必要がある」と話す。
流行した際には流通網がまひすることも想定されるため、2週間程度分の医薬品や食料の備蓄が必要とされる。周南市では一人暮らしの高齢者らに物資を供給できる態勢などを確立するための対策会議を今年度中にも設置する方針だ。
ハンドブックは各地の保健センターで無料で配っている。研修の要請は県健康増進課の母子保健・感染症班(083・933・2956)。〔山口版〕
画像は山口県の話題のハンドブック表紙です
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